召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?
美少女降霊術師の心霊事件簿12: 探偵業始めました (第1幕)
M M超心理研究所、それは差間見町にある美土路神社で神職のアルバイトをしている最神玲と物部かすみの両名が、大学卒業後に立ち上げた組織と言うか団体である。そして現在、この団体に所属する構成員は全部で5名である。玲とかすみ以外には、日本国内だけでなく世界にもその名が浸透しつつある著名な霊能力者であり、かすみの一番弟子でもある神室霊華が在籍する。そしてかすみの二番弟子であり現在はアメリカ陸軍に所属するラハニ・カヤンと、若者達からの絶大な支持を集めるシンガーソングライターのRINAことが三番弟子として所属している。そんなM M超心理研究所、略してM Mは、長年の懸案事項であったある問題が遂に解決されようとしていた。
「どやろ、こんな感じでええんとちゃうか?」
「良いですね、師匠。暗い雰囲気がなく、
明るい感じで何でも気軽に相談してください、
と言う雰囲気が良く出ていると思いますよ!」
「まあ、あれやな。このBGMがあると、
全然印象も違ってくるわな。
流石はRINAさんやねー」
とかすみと神室霊華は、自宅のダイニングテーブルにてノートパソコンの画面を見ながら、何やら上機嫌になってお互いに褒め合ったりしている。そんな彼女達の傍で、玲は難しい顔をして腕組みをしている。するとかすみが水を差す玲の行為に対し
「何や、玲。何か文句でもあるんか?」
と早速喧嘩腰で玲の態度を非難した。すると玲は急ぎ首を横に振りつつ
「な、ないよ、文句なんて!ただね――」
何やらかすみの顔写真が本人とは少し違うのではないかと指摘した。するとかすみが
「はぁ?玲、何言うてんねんな!
これうち以外の誰の顔やねん!」
と怒り出し、早速手にはマキザッパを召喚する。そして一シバキする前に、
「まあ、少しだけ明るさ変えたり、
コントラストをいじったりはしたで。
でもな――」
どこかの芸能人みたく小顔にしたりとか、目の大きさや位置を微妙にずらしたりなどのようなえげつない加工は一切してないと強調し、そのついでに玲を一シバキした。すると玲が
「い、痛いな、かすみ! まったく......
ホームページに載せる代表の写真だったら、
ちゃんと正確にしないと駄目なんじゃないの?」
としばかれた頭を摩りながらかすみに抗議しつつ、それでもダメ出しはしておく。そんな玲の指摘に対し、かすみではなく神室霊華が
「でも玲さん、この師匠の写真は
確かに師匠の顔そのものですよ。
それに師匠の仰るように、
明るさとかコントラストの調整は
私も良く行いますし、
それは普通かと思いますが」
と玲の指摘に反論した。ところが、玲が指摘している点は実はそこではなく、
「まあ、それ位については僕も認めてるよ。
それよりも僕が言いたかったことは――」
この写真のような笑顔を見たことが無い、と言うことであった。そして
「例えば、大好きな新喜劇を見て
馬鹿笑いしているかすみは知ってるよ。
それと酒飲んでほろ酔い気分で
機嫌がいい時のかすみの笑顔も知ってるけど――」
こんな自然な、誰に対しても安心感を与えそうな笑顔を見たことは無いと言い出した。これには流石にかすみと神室霊華は呆れてしまう。しかもかすみは、恥ずかしさからではなく、怒り心頭で顔を赤くして
「れ、玲、おお、お前な、
ししし、失礼にも程があるぞー!!」
と叫んだかと思ったら、特大のマキザッパを召喚し、それを野球のバットのようにフルスイングして玲を袋叩きにした。この玲の言動は、確かにかすみに対して失礼極まりないのだが、ただし玲の指摘するようなかすみの笑顔を玲が見たことが無いのも事実である。もしこの写真が真実だとすると、目の前で仁王立ちしているかすみは一体何者なのか?まさに表と裏、あるいはジキルとハイドの関係のように善と悪が同居する二重人格と言うべきだろうか?玲はしばかれたところを摩りながら、そんなことをずっと考え続けていた。
さて、そんな不謹慎極まりない玲を脇へ追いやったかすみは、神室霊華が見守る中、M Mのホームページを無事新しいものに更新した。
「これで、やっと肩の荷が下りたわ。
もう、ずーっと、これどないしよう、
どないしようと思ってたからなー」
「お疲れ様です、師匠。でも、このホームページ、
何カ国語対応なんですか?」
「えーっとやな、日本語、英語、フランス語、
イタリア語...要するにやな、
ラハニさんが翻訳できる言語分やな」
あっ、あと関西弁も入るな、ははは、とかすみは笑いながらそんなボケをかました。ただし、これはボケでも冗談でもなく本当に関西弁モードは作られており、ただし隠されたあるスイッチを押さないと表示されない仕様となっている。
さて、玲を除く4人が協力して作り上げたM Mのホームページは、新たに専用の申し込みページを用意した。そこに名前や連絡先などの必要事項と依頼内容を書いてもらって送信すれば、M Mの全員に連絡が行くようになっている。こうすることで、今までのように玲個人宛のメールに頼ることもなく、玲への負担が無くなるだけでなく、M Mの全員が依頼内容を目にすることが出来るので、誰かが見落としたという不測の事態を避けることは出来る。ただし、M Mの名刺には玲のスマホが連絡先のまま残っているため、名刺経由で依頼がある場合は、これまで通り玲のスマホ頼みとなる。