召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?
Go to the Space again? (第3幕)
さてこれから何が起きるのかをのんで見守るM Mの5人だが、そのうち中央の3次元超精密銀河系図を見つめていたRINAが、何を思ったのか何となくそれに触れてみた。すると
「わっ、わわわ、ななな、なんか、
表示が、表示が、かかか変わりましたけどって......
これって――」
どうやらある場所をクローズアップし始めたようだ。すると物部かすみが
「うわっ、もしかして、
またあっこにワープするんかなー」
と目を輝かせながら期待を込めてそう口にした。そして再びあのテーマソング「帝国のマーチ」を口ずさむ。と言っても相変わらずやる気のない方にしか聞こえないのだが。だがかすみの期待もむなしく、やはりこの塔が動き出す気配は一切ない。しかもクローズアップしたところは、輪っかのある惑星や巨大な目玉のある惑星を映し出していた。そのうち青い惑星がクローズアップされたところで、そこが太陽系であり、青い惑星が地球であることがわかった。更に地球の近くを表示すると、そこに何やら光の点が出没し始めた。しかも1つや2つではなく、数十、いや数百はあろうか。5人は誰も声を発することなくただ黙ってその光の点を見つめていた。
するとその時、ちょっとした揺れを感じた。「地震か?」と最神玲は身構えるが、直ぐに収まったところから、地震ではない感じを受けた。すると今度は、壁から何かの計器が現れて突然輝きだした。そして暫くすると、それは突然現れた。
[オマエタチ ナニモノダ?]
あの時と同じく声が頭の中に木霊した。玲とかすみと神室霊華の3人は既に体験しているため、直ぐに頭の中の声に反応して、自分たちが何者でここで何をしているのかを説明し始めた。勿論、口頭ではなく頭の中での話だが。
一方、未知との遭遇初体験のラハニ・カヤンとRINAはと言うと、恐怖が顔に張り付いたかのように、目を大きく見開いた状態で硬直していた。目の前には、映画などでお馴染の、ザ・宇宙人ことグレイが数体現れたからだ。そんな2人を目にしたかすみは、手元にマキザッパを召喚して軽く2人をしばいた。そしてようやく2人ともに目をぱちぱちと瞬き何とか正気に戻るのだが、やはり目の前の本物の宇宙人に対して恐怖を感じずにはいられない。それでも、そもそも自分たちと同じ格好だから、今更恐怖も何もない気もしなくはないのだが。
とその時、猫のおもちが飼い主を守ろうとRINAの前に突然現れて、背中を丸めて全身の毛を逆立てる猫特有のあのポーズ「やんのかステップ」で宇宙人を威嚇し始めた。するとその様子を見ていた玲が、直ぐににくたまにある指示を与えた。そしてにくたまはおもちに玲からの指示を伝えると、やんのかステップは一旦解除したものの、まだ油断できないと宇宙人をじっと睨み続けていた。玲としては、ここでおもちが宇宙人を攻撃しようものなら、自分たちはただでは済まないと咄嗟に判断したのだった。だがまだ宇宙人の方は、5人に対して銃らしき物を向けたまま微動だにしない。するとラハニが隣の神室霊華に「カレラハナニヲシテイルノカ?」と尋ねた。神室霊華も何をしているのかは分からないと断りを入れつつ、恐らくテレパシーで母船か何かと交信しているのではないかと伝えた。玲もかすみも、恐らく神室霊華の指摘通りだろうと考えているのだが、果たして
「オマエタチノコトハ、シッテイル。
ツイテコイ」
と相変わらず横柄な態度で命令してくるが、とりあえず攻撃されることはないと分かったので、5人と2匹は黙って従うことにした。一応念のために、玲と神室霊華はシールドを下ろし、他の3人はグレイのヘルメットを被った。そして猫たちも透明ケースに入れられて、そのままグレイの後を追った。
5人と2匹が塔の外に出たとき、辺りは真っ暗闇に包まれていた。先程まで竪穴の底にまで届いていた太陽光線が突然無くなったためだ。そのためてっきりあの塔が知らないうちにどこかに飛んで行ったのかと錯覚してしまった。だが足元には地面があることは何となくわかる訳で、では一体どうして真っ暗になったのか?そんなことを考えていた5人と2匹は、グレイにある場所に連れて来られた。そして「ココデマテ」と頭の中に声がした次の瞬間、彼らは再び明るい場所に現れた。まるで自分たちが何時もするような転移が行われたかのように。だがその明るい場所を見た玲とかすみと神室霊華の3人は、すぐにそこがどこなのかが分かった。
「玲、ここって、あっこやな?」
「うん、あっこやね」
「でもまさか、またこれに乗ることになるとは
思いもしませんでした」
と3人は何やら懐かしそうにそんな会話をしているが、その横では、ラハニとRINAが、今日何度目かの驚きで言葉を失っていた。RINAとすると、余りにも驚くことが連続したからか、既に麻痺していたかもしれない。そのためか、直ぐにRINAは誰にともなくここがどこなのかを尋ねた。すると
「ここはな、あのグレイ達の宇宙船の中やで。
しかもな、メッチャでかい
どら焼きみたいな母船やねんな」
とかすみはニコニコしながらRINAに説明したように、そこには沢山の小型宇宙船、RINAからするとUFOが格納されていることからして、母船であることは確かだった。そしてこの母船が恐らくあの塔の上空に待機していたから全く太陽光線が届かなかったのだと玲は推測した。
ラハニとRINAは理由がわかると少しずつだが落ち着いてきた。そしてやはり母船の内部にいると分かったところで、玲は再びシールドを上げて深呼吸をすると
「うん、やっぱりここも空気があるね」
と穏やかな表情でそう口にした。そこで残りの4人もその場でシールドを上げたりヘルメットを脱いだりした。また2匹の猫達も再びケースから外に出されるが、玲はにくたま経由で、おもちにRINAを警護するように指示をした。するとおもちは何やら分かったようで、早速RINAの足元付近を警戒し始める。まるでRINAのSPのようである。そんなおもちを頼もしく思ったRINAはおもちを抱き上げて「ありがとうね、おもち」と声を掛けた。すとる嬉しそうに「にゃーにゃー」と鳴くのだが、にくたまが言うにはどうやら「ちゃんと警護するから任せとけ」と自信に満ちた言葉だというのだ。それを聞いたRINAはおもちを頬刷りしてキスをする。それからおもちを下におろすと、RINAから離れないように警護を始めた。そんな小さな英雄を見ていたかすみは「いいなー、うちもあんな可愛いボディーガード欲しいなー」と呟くのだった。
さて異様な雰囲気の中、何やらほっこりした気分になるという、通常では考えられない状態に置かれている5人と2匹。するとそこにグレイと何やらもう1人がやって来た。宇宙服からして、どうやらこの母船の船長っぽく感じるのだが、果たして
[ミナサンノコト ホンゴクカラキイテマス]
とやはり昨年の夏に出会った宇宙人達であったことが裏付けられた。更に
[アナタタチヲ ホンゴクニショウタイシタイ]
との申し出をM Mの5人に対し行った。もしこの後何も用事がなければ、かすみの場合「ええで、ほな行こか」で済まされるのだが、ここにいる5人は明日以降も各自の仕事がある。そこでとりあえず、玲が代表して答えることにした。もし招待を受けた場合、どれくらいの期間滞在するのかを玲は尋ねると、彼らの時間で30と言う数字が告げられた。ところが、彼らの30が日にちなのか時間なのか、もしかして月なのか、そこが全く分からない。そこで玲は、自分たちの住む地球上で、地球が自転により1回転して太陽が同じ場所に来るまでの時間を1日と伝えた。更に
[僕たちは 1日後には仕事
労働をする必要があります]
と伝えたところ、何やら驚きの表情を見せてから、しばし沈黙した。もっとも彼らが果たして地球の1日を理解できているかどうかは分からないが、どこの惑星や恒星も自転はしている筈なので、それで大体想像できるのではと考えたのだが、どうやら地球の一日と自分たちの時間を確認していたようなのだ。そして
[ワカッタ コンカイハアキラメル]
と伝えてきたことで、5人は安堵の表情を浮かべた。その後5人と2匹を地球まで送ると提案するのだが、今の地球で彼らの存在は知られていないため、大きな問題になることを懸念点として玲が伝えると、何やらがっかりした表情を示したように見えた。だがそんな時に、かすみが
[ほな 何かもらうこととかでけへんか?
それを友好の証ということにしたら
うちらはあなたたちとは友好関係にあると
なるしやな]
という提案を投げた。船長らしき人物は、無表情でかすみをしばし見つめるが、
[ワカッタ ナニガホシイカ?]
と尋ねるので、5人はその場で相談することにした。と言っても実はほぼ結論が出ているのだが、代表してかすみがそれを伝えることにした。それは
[ほな この宇宙服
これをもう2つもらわれへんやろか?]
であった。やはりこの宇宙服であれば長時間の月面滞在が可能なため、もらえるのであればもらっておきたいと思うのだった。すると船長が暫くその場で固まっていると(恐らくテレパシーで通信していると)、その場にグレイが何かを持って現れた。それはまさにかすみが着ている宇宙服と同じ物である。それを手渡されたかすみは、早速玲と神室霊華にそれぞれ渡した。そこで玲は早速それに着替えるために今の宇宙服を召喚解除した。するとTシャツとトランクス姿になった途端、かすみが
「お、おい、玲、少しはデリカシーちゅうもんが
あらへんのか!!」
と玲を睨み付けながら彼の頭を召喚したマキザッパでしばいた。玲は着替えている途中にかすみからの不意打ちを受けたため、なす統べなくその場で尻餅をついてしまった。一方の神室霊華は、やはり大勢の前で宇宙服を脱ぐことに抵抗がありどうしようか迷っていると、かすみが直ぐにその場に簡単な更衣室を召喚した。そして
「霊華さん、そこで着替えたらええで」
とかすみが神室霊華に伝えると、神室霊華は嬉しそうに「師匠、有難うございます」と感謝の言葉を伝えながら更衣室に入った。そして数分後、着替え終えて出てきたところで、5人はグレイ仕様の宇宙服に身を固めたのだった。その後、自分たちの使っていたシェルターがあるのでそこに戻ることを伝えて、一行は母船を降りた。やはり彼らが滞在していた母船が、あの謎の塔に接触していた、いや突き刺さっていたと言った方が正確だろう。丁度けん玉の剣先に巨大な球が刺さっている、そんな感じである。そして彼らの説明によると、この塔はマーカーだと言っていた。要するに灯台みたいなものだろう。そしてかすみが押したスイッチの中に、どうやら救難信号みたいなものが発信されたようで、そのために周辺の宙域にいた母船がここに集まりだした、と言うのが真相のようだ。そしてこの母船だが、5人がその巨大な船体を見上げていると、直ぐにその場からどこかに消え去って行った。と同時に、その場にいた数多くの宇宙船も姿を消した。
「さて、これで自由になったけど、
それよりも――」
猫たちの空気がそろそろ尽きそうだということで、一行は玲が近くに持ってきたシェルターに戻った。そしてそのまま別荘に向かって転移したのだった。