召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?
神室霊華、霊障の相談を受ける (第5幕)
問題の部屋の中に悪霊がいないことに不審を感じながら、4人は念のため他の部屋の探索に向かおうとした。とその時、RINAの目の前に突然それが現れた。そして直ぐにRINAに向かって両手を前に突き出した格好で襲い掛かろうとした。RINAは突然のことに一瞬思考が停止したが、直ぐに
「わわわわわ、でででででで、でたー!!!」
と大声を出してパニックになりながら後退った。RINAの叫び声を聞いた3人は、踵を返して元の部屋に戻るが、いち早く戻って来たかすみが、直ぐに悪霊の足元にバレル型の降霊召喚門を設置した。悪霊はまさか自分の奇襲攻撃が躱されただけでなく、何か得体のしれない結界に捕らえられたため、その場でジタバタと藻掻きだした。かすみはその場で
「ふぅー、何とか間に合ったなー」
と溜息をついて安堵の表情を浮かべた。RINAは放心状態で壁に背中を押し付けたまま何とか立っているが、直ぐに気を取り戻して「あ、有難うございます、かすみさん」とかすみにお礼を伝えた。玲も
「ナイスかすみ! 直ぐにバレル型の
降霊召喚門を設置したのは
ファインプレーだよ!」
と玲がかすみをべた褒めすると、かすみは顔を赤くして照れてしまう。もっとも外気温が低いからか、先程までの顔色とそんな変化はなかったのだが。そして玲は、直ぐにRINAの様子を確認した。どうやら気が動転しただけで特に問題がなさそうだと見て、直ぐに目の前の悪霊を観察し始めた。
「これだね、原因の奴は」
「そのようですね、私も凄い霊力を感じます」
と玲と神室霊華はそのように会話をしているが、それよりも先ずはこの悪霊の素性を尋ねることにした。だが
「あかん、こいつ、全く話が通じへんで、
マジで!!」
とかすみはお手上げ状態である。怨霊であれば多かれ少なかれ恨み辛みがあって当然でそれを何とかして訴えたいという行動に出るのだが、悪霊だとそうはならず、ただ相手に憑りついて殺す、それしか考えていない。
とりあえず、目的の悪霊を捕獲したM&Mの4人は、これからが彼らの仕事の本番である。と言っても実際に何かをするのは玲だけなのだが、玲は悪霊の周りに何かを別荘の工房から転移で持ってきてその場に設置した。それは丁度畳1枚分の大きさの金属板であり、それを3枚悪霊を中心に正三角形の頂点に位置する場所に設置した。その様子を見ていたRINAは早速好奇心が顔に出てきたようで、一体何をしようとしているのかを玲に尋ねた。玲は工房から持ってきたノートパソコンの状態をチェックしながら
「これはね、悪霊の持つ霊力を測定する装置だよ。
霊力のエネルギー量や位相を測定することで、
問題の霊障に対する対策を立てられるんだ」
と答えた。RINAは分かったような感じでふむふむと頷いている。そして調整が済んだところで、早速測定を始めた。
さて悪霊はと言うと、測定中じっとしていることはなく、じたばたして何とか拘束から逃れようと画策するが、自由を完全に拘束されたことに腹を立てたのか、目の前のM&Mのメンバーに向けて時折威嚇したりする。その様子をモニターしていた玲が、
「ん?何か興奮し出すと
少し波形が変化するな......」
と呟いた。そこで「誰か、悪霊を興奮させたりしてもらえないかな?」とお願いすると、早速かすみが待ってましたとばかりに何やら召喚して行動に出た。かすみは召喚した何かを悪霊に向けると、悪霊はかすみに対し威嚇行動に出る。そしてかすみは何かをひたすら行うのだが、最初神室霊華とRINAはかすみが何をしようとしているのか分からなかった。だが神室霊華は、かすみのある行動を目にした途端、直ぐにあれをしていることを見抜き、そして自身のトラウマになっていることを思い出すや一瞬ブルっと体が震えたりした。一方のRINAはと言うと、かすみが何時も召喚するあれを使って悪霊をしばくのかと思ったが、
"そもそも実体のない幽霊に通用するのか?"
と疑問に感じていた。ところがかすみはそれを直接使ってシバクことはなく、何やら突っつく仕草を始めたことで首を傾げてただかすみの行動を見守り続けた。だが直ぐに何をしているのかに思い至った途端、お腹を抱えて笑い出した。そして少し落ち着いたところで、ニヤニヤして
「か、かすみさーん、ああ、悪霊に、
ちち、乳首ドリルって効くんですかー?」
とかすみを弄りだした。そう、かすみは悪霊を相手にマキザッパを使った正式名称「ドリルすんのかいせんのかい」、通称「乳首ドリル」を実践していたのだ。しかも、かすみが悪霊の乳首にドリルをしようとマキザッパを突き出すと、それに合わせるように悪霊が手で払いのけようとする。その様子はまるで「ドリルすな! ドリルすな!」と言っているように見えなくもない。そんな光景を想像したRINAは、再びお腹を抱えて笑い出してしまう。
ところで、本来であればかすみは相手に近づいて乳首ドリルをするところ、やはり悪霊相手であるため少し離れてせざるを得ない。それでも乳首ドリルは悪霊をいらだたせるには十分効果があったようで、玲は「おー、いいよ、そのままお願いね」とパソコンに表示される波形をモニターしながらかすみに続けることをお願いした。そして数分後「うん、もう大丈夫だよ」と言ってノートパソコンから顔を上げたとき、かすみの様子を見て「かすみ、何やってるの?」と思わずかすみに尋ねてしまった。かすみは新喜劇の転びをしそうになりながら、「おい、今気づいたんかい!」とツッコミを入れていた。
何やら心霊スポットには似つかわしくない笑いに包まれた現場であるが、必要なデータを取り終えたところで、神室霊華が玲にこの悪霊をどうするのか尋ねた。すると玲は
「まあ、当然除霊しないと、
また誰かに憑りついて
同じようなことがありそうだよね」
と言うことで、測定装置を別荘の工房に転移させてから、かすみに対応をお願いした。かすみは直ぐにバレル型の降霊召喚門を開き、目の前の悪霊をお見送りした。悪霊は何をされたから分からぬまま、否かすみの乳首ドリルの犠牲になっただけのまま、結果的に霊界に送り出されて成仏させられてしまった。そして無事に必要なデータが取れたところで、これからの処理が非常に重要になって来るのだった。