悪役令嬢は世界のバグを修正する
魔法研究所・観測室。
前回イベントのログが消えないまま、
観測盤には次の解析画面が展開されていた。
光の式が切り替わる。
SOCIAL EVENT LOG が閉じ、
別の表示が開く。
TARGET
文字が一つ浮かぶ。
LETICIA
部屋の空気が少しだけ張り詰める。
研究員の一人が操作式に触れる。
詳細が展開される。
STATUS
ANOMALY
赤い文字がゆっくり点滅する。
別の研究員が低い声で言う。
「……異常指定が残っています」
さらにログを開く。
ELIMINATION TARGET
YES
CORRECTION TARGET
YES
現在状態。
ROUTE
UNFIXED
STRUCTURE
UNSTABLE
研究員が主任を見る。
「本来は排除対象でしたが」
操作を続ける。
ログが並ぶ。
ELIMINATION FAIL
ROUTE LOST
UNKNOWN PATH
研究員が続ける。
「現在、状態未確定です」
主任は何も言わない。
表示を見たまま立っている。
別の研究員が慎重に言う。
「補正を再実行しますか」
「強制ルート固定も可能です」
観測盤の横に別の選択式が浮かぶ。
INTERVENTION
REWRITE
FORCE FIX
赤い警告が点く。
STRUCTURE DAMAGE RISK
主任の目がわずかに細くなる。
数秒の沈黙。
その間も、
LETICIA
の表示だけが点滅している。
やがて主任が言った。
「変更する」
研究員が顔を上げる。
「はい?」
主任は短く言う。
「排除対象から外せ」
研究員が固まる。
「……外す?」
主任は続ける。
「例外扱いに変更」
操作盤に新しい項目が出る。
TARGET STATUS
NORMAL
ERROR
ANOMALY
EXCEPTION
主任が指で示す。
「それだ」
研究員がゆっくり操作する。
選択。
EXCEPTION
表示が変わる。
EXCEPTION FLAG
SET
赤い文字が白に変わる。
ANOMALY → EXCEPTION
部屋の空気が少しだけ軽くなる。
だが、
別の警告が出る。
STRUCTURE MONITOR
REQUIRED
研究員が主任を見る。
「干渉しますか」
操作盤に選択が出る。
INTERVENTION
YES / NO
少しだけ間。
主任は表示を見たまま言う。
「まだだ」
研究員。
「観測のみですか」
主任。
「そうだ」
静かな声。
「観測優先」
表示が更新される。
OBSERVATION MODE
ACTIVE
さらに、
新しいタグが付く。
TARGET
LETICIA
STATUS
EXCEPTION
MONITOR
HIGH
主任が最後に言う。
「次のイベントで確認する」
研究員。
「魔法大会ですね」
主任は小さく頷く。
観測盤の中央に表示が出る。
MAGIC EVENT
CHECK TARGET
LETICIA
その下に、
小さく残る文字。
UNKNOWN PATH
ACTIVE
誰もそれを消さなかった。