悪役令嬢は世界のバグを修正する
魔法研究所・観測室。
例外指定の処理が終わっても、
観測盤の光は消えなかった。
空中に浮かぶ式がゆっくり並び替わる。
ログが閉じられ、
次の予定表が展開される。
EVENT SCHEDULE
光の文字が縦に並ぶ。
過去イベント。
社交夜会。
評価更新。
排除イベント。
その下に、
次の行が現れる。
NEXT EVENT
MAGIC EVENT
研究員の一人が小さく言う。
「次イベントです」
別の研究員が操作する。
詳細が開く。
MAGIC TOURNAMENT
ALL GRADE
ROYAL WATCH
INSTITUTE OBSERVE
KNIGHT GUARD
文字が並ぶたび、
観測室の空気が少し重くなる。
主任が前に出る。
表示を見たまま言う。
「……魔法大会か」
研究員が頷く。
「はい」
さらに画面を切り替える。
会場図。
結界配置。
観測式。
全部表示される。
「今年は最大規模です」
主任は無言で見る。
研究員が続ける。
「全学年参加」
「他国留学生参加」
「王族観覧」
「研究所観測」
少し間。
最後に言う。
「騎士団警備強化」
主任の目がわずかに細くなる。
「構造密度が高いな」
別の研究員が答える。
「はい」
「イベント規模が大きいほど」
「構造がはっきり出ます」
主任は少しだけ考える。
観測盤の光がゆっくり回る。
MAGIC EVENT
STRUCTURE MAP
FLOW LINE
表示が重なっていく。
主任が小さく言う。
「……都合がいい」
研究員が顔を上げる。
主任は続ける。
「これだけ大きいイベントなら」
少し間。
「構造が全部出る」
観測盤に新しい式が展開される。
STRUCTURE TRACE
FLOW CHECK
SCRIPT READ
主任が言う。
「構造確認に使える」
研究員たちが無言で頷く。
一人が操作する。
イベントにタグが追加される。
MAGIC EVENT
↓
CHECK EVENT
文字が白から赤に変わる。
CHECK EVENT
ACTIVE
別の研究員が確認する。
「観測深度を上げますか」
主任。
「上げろ」
操作。
新しい表示が出る。
FLOW ANALYSIS
SCRIPT TRACE
STRUCTURE CHECK
さらに、
追加項目。
ANCIENT RESPONSE
LOCK
主任がそれを見る。
少しだけ目を細める。
だが何も言わない。
研究員が小声で聞く。
「古代層まで見ますか」
主任は短く答える。
「必要なら開ける」
観測盤の中央に、
大きく表示が出る。
MAGIC EVENT
CHECK READY
TARGET
LETICIA
その下に、
消えない文字。
UNKNOWN PATH
ACTIVE
主任が静かに言う。
「大会はイベントだ」
少し間。
「そして」
低い声。
「テストだ」
表示がゆっくり点滅する。
CHECK EVENT
RUNNING
観測室の光だけが、
静かに動き続けていた。