悪役令嬢は世界のバグを修正する
繋がった。
たった一箇所。
それだけの修正。
だが――
次の瞬間。
世界が、応答した。
空。
停止していた巨大ルーンが、
一斉に震える。
光が走る。
一つではない。
すべて。
分断されていた線が、
同時に接続される。
ずれていた順序が、
一瞬で整列する。
同期。
全ルーンが、
完全に噛み合う。
その瞬間。
時間が――
落ちた。
止まる。
完全に。
先ほどまでの“未確定”とは違う。
処理待機でもない。
すべての更新が、
強制的に遮断される。
音が消える。
空気の流れが、
消える。
光の揺らぎさえ、
消える。
世界そのものが、
一段深く“固定”される。
レティシアは、
動いている。
だが、
その動きすら、
どこか現実から切り離されている。
次の瞬間。
表示が現れる。
それは、
これまでのものとは違っていた。
警告でも、
異常でもない。
“判定”。
静かに。
確定するように。
浮かび上がる。
ANCIENT USER
CONFIRMED
短い。
だが、
意味は絶対だった。
レティシアは、
それを見上げる。
理解する。
これは魔法ではない。
発動でも、
詠唱でもない。
“アクセス”。
そして、
自分は――
“使用者”として、
認識された。
世界に。
その瞬間。
レティシアと世界の関係が、
決定的に変わった。