悪役令嬢は世界のバグを修正する
レティシアの動きが、
最後の一手に届く。
回避。
停止。
そして――
一歩。
それは、
これまでと同じ動き。
だが、
決定的に違う。
順序が、
崩れていない。
タイミングが、
ずれていない。
応答が、
外れていない。
すべてが、
完全に重なる。
その瞬間。
空間が、
静止する。
守護者が、
止まる。
動かない。
再構築しない。
形が、
崩れない。
ただそこに、
存在している。
“処理”が止まった。
騎士の一人が、
息を呑む。
「……止まった……?」
誰も動けない。
攻撃も、
防御も、
必要ない。
それほどまでに、
明確な変化だった。
レティシアは、
目の前の守護者を見る。
そこにはもう、
敵意はない。
反応もない。
“判定”が終わっている。
視界に、
表示が重なる。
SEQUENCE MATCH
COMPLETE
一拍。
続けて。
USER AUTH
VERIFIED
認証。
成功。
レティシアは、
その意味を理解する。
これは勝利ではない。
倒したわけでもない。
ただ、
一致した。
構造に。
順序に。
そして――
許可された。
守護者は、
もう動かない。
それは敗北ではない。
役目を終えただけだ。
空間が、
次の段階へと移行する。
試験は、
終わった。