悪役令嬢は世界のバグを修正する
廊下を歩く。
足音が、
静かに響く。
昼の光が差し込み、
影が伸びる。
人の流れは、
いつも通り。
すれ違い、
交差し、
何も残さない。
その中で、
レティシアは進む。
視線がある。
騎士団。
壁際に立ち、
無言で空間を見ている。
動かない。
話さない。
ただ、
わずかに目だけが動く。
レティシアが通る瞬間、
ほんの一瞬だけ、
そこに焦点が合う。
すぐに外れる。
何もなかったように。
その奥。
教室の扉の横。
設置された装置が、
微かに光る。
一定のリズム。
脈のように。
観測。
継続。
レティシアの視界に、
表示が浮かぶ。
EXTERNAL OBSERVATION
DETECTED
外からの視線。
明確な認識。
隠されている。
だが、
消えてはいない。
レティシアは、
歩みを止めない。
振り向かない。
何も言わない。
ただ、
理解する。
これはもう、
偶然ではない。
配置も、
観測も、
視線も。
すべてが、
一つの流れに繋がっている。
(……始まってる)
小さく、
内側で呟く。
静かに。
確実に。
何かが動き出している。
見えない場所で。
見えない形で。
そしてそれは、
もう止まらない。